監督就任にあたって

寄稿者:福田 倫史(山岳部監督) 寄稿日:2025/7/26(会報163号転載)

 お世話になっております。山岳部2017年度卒の福田倫史と申します。

 学生時代は2014年〜2017年の間、当時水田監督のご指導の元で山岳部一色の4年間を過ごしました。(おかげで学生時代は無事延長しましたが、、)

 卒部までの間に、各合宿で早大山岳部が当時謳っていた「オールラウンド登山」を叩き込まれ、その成果としてアイランドピーク、ラジョダダへの海外遠征など現在の自分自身の骨格となる数々の経験を積ませていただいたと思っております。その後、大学卒業〜現在に至るましばらく山から足が遠のいてはいたものの、コーチとして山岳部の指導には当たっていました。そんな中、昨年度末に小川前監督より打診を受け、2025年度より早大山岳部監督を務めております。

 これまで私が山岳部卒業後の7年間にコーチ・監督として学生と接してきた中で、登山や学生を取り巻く環境が大きく変わっていることを実感しています。山岳部にとってのマイナス影響で例を挙げるのであれば、第一に学生の就職活動の早期化・長期化です。これにより山岳部のカリキュラムである合宿の日程確保が困難になり、技術、伝統の継承の大きなハードルとなりえています。また、冒険を伴う登山に対する風当たりの強まりやその他少雪化といった気候変動なども自由な山岳部活動を進めていく上で無視できない影響があります。一方で、好意的に捉えている変化もあります。SNSやYoutube上で登山関連の情報発信も増えたことで、記録やノウハウの収集は格段にしやすくなり、また、第一線級のクライマーの登山記録を見て大いに触発される機会も身近になりました。(鈴木雄大ヘッドコーチのYoutube等もまさにその好例です。)こうしたツールを上手く使うことで、より効率的な計画立案やトレーニングに活かしてもらえればと思います。(当然、こうした情報は玉石混淆であり、正確性、信憑性、そして自分達の身の丈に合うかなどを見極める眼を持つことは、学生にも十二分に意識して欲しいことでもあります。)

 これまで挙げた数々の変化に対峙し、山岳部の活動を現在の環境に適応したものに昇華させていく必要があると感じています。このためには、監督として早大山岳部の伝統に固執するだけではなく、一定の柔軟性も持ち合わせる必要があると想定しています。

その中で自分が監督として大事にしたいことは、①「学生主体であること」 ②「挑戦的であること」③「安全であること」の3点です。①は言わずもがなですが、部活動自体が任意の活動である以上、学生自らが考え、計画・準備やトレーニング、山行に責任を持つことが前提です。従って、この点は学生達にも高いレベルを求めていくことになります。次に②ですが、登山の真髄は挑戦にあり、常に限界をプッシュしていくことこそが成長につながるものであると考えます。一方、挑戦と無謀の境界は曖昧であり、学生で判断しきれない部分もあります。だからこそ③「安全であること」を担保できるよう指導陣一体となり、最大限のサポートをできればと思っております。

 ただ、変化を受け入れるだけでなく、いかに時代が変わろうと、変わるべきでない部の在り方もあるとも感じます。学生達が山岳部に籍をおく数年間、多くの挑戦をし切磋琢磨していく中で生涯の友人同士に育ち、登山技術の会得ととも人間的に大きな成長と遂げていく場であり続ける。早大山岳部の本質的な価値はそこにあるのだろうと私は思っております。(そしてその結果、早大山岳部の伝統を受け継ぐ岳人が育ってくれることも期待しています。)早大山岳部がこの点において変わらない場所であり続けるために、部長先生、コーチを始め稲門山岳会の皆様にもお力添えを頂けますと幸いです。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。 

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